コツコツ貯蓄をがんばっている人ほど、じつはお金が貯まらない!? 【お金の専門家が解説】
2022/09/28
10年前に比べて、物価は大きく上がっているのに収入はそれほど増えていない、と思いませんか?「こういう景気のときは、現金や預貯金の価値がどんどん目減りしていきます。お金を貯める手段を預貯金だけに頼っていては危険です!」と節約アドバイザーの丸山晴美さんは警鐘を鳴らします。今、お金を貯めるためにやるべきことをお聞きしました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2022年9月時点のものとなります。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「運用投資はじめ」!
物の値段が上がると現金や預貯金の価値は「目減り」する!?
10年前に比べて、気づけばパンのボリューム感がなくなったり、アイスもどんどん小さくなって、ポテトチップスの中身は妙に少なくなっていたり……。これらはサービスやものの値段が上がって貨幣の価値が下がる「インフレーション」、いわゆる「インフレ」と言えます。
貨幣の価値が下がるということは、がんばって貯めた預貯金の価値も目減りしていると言えます。例えば、100万円あれば10年前は半年ほど生活できたけど今は2〜3カ月がせいぜいなど、同じ金額でもできることや買えるものが異なるのです。これでは10年後や老後など今後の生活が不安になりますよね。
一方、金や株式などの投資運用商品のなかには、インフレと資産価値が連動するものがあります。投資運用には大なり小なりリスクがあり、リスクが大きいものはその分リターンも期待できます。ただし、元本が保証されるものではありません。
預貯金や定期預金は、元本が減るリスクはありませんが、その分金利が低いためリターンは期待できません。インフレにより現金や預貯金の価値がどんどん目減りしていることを考えれば、預貯金や定期預金がパーフェクトな運用方法ではないことに気がつくでしょう。
インフレのような状況下では、リスクを回避するための金融商品を運用し、現金や預貯金の目減り分を補うことを考えること、つまり「バランスよく分散投資」をすることが大切です。そして、これから投資をしようとする商品にどういったリスクがあり、どれくらいのリターンが期待できるかなどを理解することも、自分の資産を守るために大切なことです。
低リスクでできる投資運用が「iDeCo」と「つみたてNISA」
金融商品には大なり小なりのリスクがありますが、それを軽減させるポイントとして「長期に積み立てをして、金融商品を分散させる」ことが大切です。そこでおすすめなのが「iDeCo(イデコ)」です。
「iDeCo」は毎月一定の掛け金を出し、自分で金融商品を選んで運用する「個人型確定拠出年金」で、原則60歳以降に受け取れる制度です。
最大のメリットは、掛け金全額が控除の対象になり、掛け金に応じて所得税・住民税が軽減されること。専業主婦の方は所得がないため所得税・住民税軽減のメリットはありませんが、運用で得た利益も非課税になるので、利益をすべて受けることができます。
「iDeCo」は60歳まで引き出すことができませんが、受け取りの際にも「退職所得控除」や「公的年金控除」といったメリットがあり、確実に老後資金を運用しながら貯めて、かつ節税にもなる制度です。
「60歳まで引き出すことができないのが不安」という方は、途中解約ができる「つみたてNISA(ニーサ)」もいいでしょう。「iDeCo」のように掛金が全額所得控除になるわけではありませんが、新規投資額で年40万円まで貯められ、最長20年間で最大800万円の非課税投資枠があります。
そして最大のメリットは、分配金や売って出た利益に対し、約20%の税金が非課税になること。最近私が家計診断をさせていただいたお宅では、「つみたてNISA」をしている家庭が増えてきていると実感しています。
貯金は利率以上増えないけど、投資運用は増える可能性あり!
「iDeCo」も「つみたてNISA」も投資運用商品ですから、損することがまったくないとは言えませんし、運用にはコストもかかります。しかし、対象商品を選ぶことで、リスクを軽減させることは可能です。
銀行の預貯金や定期は決まった利率以上に増えることはありませんが、投資運用であれば増える可能性があります。資産を分散するという意味でも、今年から投資運用にも目を向けて、少額からでも金融資産のなかに組み込んでみてはいかがでしょうか?
取材・文/かきの木のりみ