ニンニクを食べていないのに息がニンニク臭いのは不調のサイン!?原因を管理栄養士が解説
2021/08/16
ニンニクを食べた後でもないのに、なぜか「臭う」……という不思議な経験をしたことがある人もいるのでは?
口臭がニンニク臭くなる原因には、あるものを食べすぎている可能性があるんだとか!また、その状態が続くと体に不調をきたすことも……。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、ニンニクを食べていなくても臭くなる原因について紹介してもらいます。
よくある口臭の原因は?
人から指摘されたり、自分で感じて不快な思いをする「口臭」。その原因はさまざまですが、ひとつに「臭いが強い食品を食べる」ことがあります。
なかでもニンニクがたっぷり入った料理を食べた後は、直後だけでなく翌日まで口臭が続くこともあるので、人と会う予定があるときには避ける人も多いですよね。
ニンニクに含まれる臭い成分が体内で変化して血液中に吸収され、肺を通して吐く息として出てくることが、口臭の発生する仕組みになっています。この場合、臭いのするニンニクなどの食品を食べなければ、口臭を防ぐことができます。
ニンニクを食べていなくてもニンニク臭くなる!?
ところが、臭いが強くない食品であっても、食べる量によっては口臭がニンニク臭くなる可能性も!それは、ミネラルの一種である「セレン」を過剰摂取した場合です。
セレンは、魚介類や内臓肉に多く含まれる栄養素で、抗酸化作用で細胞の老化を防ぐ働きなどを持ち、不足すると心臓機能に不調をきたすことが知られています。一方で、摂りすぎた場合には、爪や毛髪がもろくなったり抜けやすくなるだけでなく、胃腸障害、息がニンニク臭くなるという症状が現れることも……。
セレンの1日推奨量は、成人男性:30μg、成人女性:25μg。耐用上限量(過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量)は、成人男性:450μg、成人女性:350μgとされています。
セレンが多く含まれる食材には、焼肉などで食べる機会のある「牛や豚の腎臓(ホルモン、マメなどと呼ばれる)」があり、100gあたり210~240μgものセレンが含まれています。女性で150g、男性でも200g食べると、耐用上限量を超えてしまう計算になります。次いで多い「あんこうの肝」には200μg含まれるため、これも同じく注意が必要です。
また、ほかにも少ない量ではありますが……
・たらこ
・まぐろ
・まがれい
・さばの開き干し
・かつお
・ずわいがに
には、130~90μg含まれ、日常的に口にする機会が多い食品となっています。これらは、270~390g食べると耐用上限量を超える可能性が。
たらこは太めの一腹で50gくらいで塩分も多く、1日250gですら食べることはあまりないと思いますが、ずわいがに一杯はむき身で300gともいわれているので、簡単に口にできる量といえます。
偏った栄養の摂りすぎには注意しよう!
意外と過剰摂取しやすいセレンですが、たまにちょっと多く摂りすぎる程度であれば気にする必要はありません。
口臭がニンニク臭くなったり不調をきたすようになるのは、継続して耐用上限量を超えてしまうような場合だからです。なので、日ごろからセレンを多く含む食品が好物だったり、食べる機会が多いのであれば、食習慣の見直しをおすすめします。
また、セレンが多く含まれる食品を食べる量に気をつけるのはもちろんですが、ふだんから食事全体のバランスが悪くならないように気をつけることも大切です。魚介類や肉類ばかりでなく、たんぱく源となる食品に大豆製品を取り入れたり、魚介類や肉類にほとんど含まれていない食物繊維が補えるよう、野菜類も積極的に取り入れると偏りを防ぐことができますよ(大豆製品、野菜類はセレンの含有量が少なくなっています)。
また、食物繊維が食事に増えると噛む回数が自然と増えるので、唾液の分泌を促して通常の口臭予防にも役立ちます。
口臭を予防することは、健康維持に繋がる面もありますので、紹介した内容を参考にしてみてはいかがでしょうか?