あさりを食べるなら“缶詰”がこんなに優秀◎手軽で長持ちなだけではなく、じつは栄養たっぷり食材だった!
2024/07/01
鉄分といえば、レバーが有名。
ですが、あさりにも豊富に含まれているのはご存じでしょうか?
そんなあさりには、生だけでなく、冷凍品や缶詰製品もあります。
今回は管理栄養士のゆかりさんが、あさりの製品ごとの栄養価の違いについてご紹介します。
選び方を知って、貧血予防だけでなく健康な体づくりにもあさりを賢く取り入れてみてはいかがでしょうか?
あさり製品には、こんなものが!
あさりは、汁物や酒蒸し、パスタの具などに利用される身近な貝の一種です。
一年を通じて出回っていますが、生の状態のあさりは春ごろに一番多く流通しています。
そのほかの時期には、生のあさりを見かけなくても、冷凍品、缶詰、加工品などとして手に入れることが可能。
「日本食品標準成分表 八訂(増補2023年)」では、つぎのような種類が取り上げられています。
・生
・つくだ煮
・水煮缶詰
・味付け缶詰
・蒸し
生は、貝殻が付いた状態で販売されています。
蒸しは、殻付きと殻なしの両方が販売されています。(冷凍品も含まれていると思われます。)
つくだ煮、水煮缶詰、味付け缶詰については、塩やしょうゆなどの調味料が加えられたものが一般的。
開封したら、そのまま食べることができるという特徴もあります。
缶詰であれば日持ちするので、常備しやすく災害食として役立つ側面もありますね。
「砂抜き済み」という表記で販売されていない限り、生のあさりは海水と同じ3%濃度の塩水をつくってしばらく浸し、砂抜きを各自で行わなければなりません。
どれだけ栄養価が違う?
さまざまなあさり製品ですが、どれだけ栄養価に差があるのかを100gあたりで比較してみましょう。
まずはエネルギー。
・生:29kcal
・つくだ煮:218kcal
・水煮缶詰:102kcal
・味付け缶詰:124kcal
・蒸し:32kcal
これは調味料の使用の有無だけでなく、水分量の差も関係していると考えられます。
生が90.3%に対し、一番少ないつくだ煮は38.0%と大きな差がありました。
同じように、たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)も「つくだ煮」が一番多いという結果に。
しかし、これ以外に注目してほしいのが、ミネラルとビタミンの含有量です。
詳しくは、つぎのとおりとなっていました。
カルシウムの量
生に比べて、つくだ煮が3.9倍、水煮缶詰が1.7倍、味付け缶詰が1.3倍という結果に。
先述の三大栄養素以外にも、つくだ煮は豊富に含んでいることがわかりました。
鉄分の量
鉄分については、つくだ煮以上に水煮缶詰に豊富に含まれていました。
生に対して、水煮缶詰が13.6倍、つくだ煮が8.6倍、味付け缶詰が1.3倍も多かったのです。
鉄分を効率よく積極的にとりたければ、「水煮缶詰」が心強い味方に!
亜鉛、銅、マンガンの量
つくだ煮、水煮缶詰、味付け缶詰は、生と蒸しに対して亜鉛、銅、マンガンをそれぞれ3倍以上も含んでいました。
多い順から、いずれも水煮缶詰、味付け缶詰、つくだ煮となっていたのです。
ちなみに、亜鉛は味覚機能の維持や代謝の促進、銅は貧血予防や抗酸化作用、マンガンは骨の強化や生殖機能の維持などに役立つミネラルとなっていますよ。
ビタミンEの量
ビタミンEについても、前項と同じく、水煮缶詰、味付け缶詰、つくだ煮の順で、生に対して3.5~6.8倍も多く含んでいました。
ビタミンEというと、植物油やナッツなどに多いイメージがありますが、あさりの加工品も補給源として役立つので、とくに美容や健康を意識している人におすすめです。
こだわりがなければ「缶詰」が◎
決して、生や蒸しのあさりの栄養価が低いわけではなく、ここで触れた以外の栄養素については生や蒸しの方が多いものもあるのです。
(おそらく加工時に壊れたり失われたりしてしまうことが理由と考えられます。)
そのため、とくに生や蒸したものを使いたいというのでなければ、つくだ煮、水煮缶詰、味付け缶詰を選んでみてはいかがでしょうか?
ただし、つくだ煮に関しては塩分がとても多くなっているため、一度に多くとらないように要注意!
生の3.7倍も含まれています。
反対に、どちらの缶詰にもいえるのですが、生や蒸しよりも塩分は少なくなっていますよ。
高血圧などに気を付けるのであれば、そういった面からも使うあさりの種類を選んでみてくださいね。
参考サイト
■執筆/ゆかり…保育園調理、セミナー講師、出張料理、料理教室、食育サイトの記事執筆など幅広く活躍中の管理栄養士で食生活アドバイザー。1児の母。
編集/サンキュ!編集部