【管理栄養士監修】「鯛(タイ)」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめな調理方法は?
2021/01/06
お祝いごとに欠かせない高級魚である鯛(タイ)は、高タンパク低カロリーで健康によいとされるさまざまな栄養成分が含まれています。クセのない味わいで、いろいろな調理法と相性がよいでしょう。おすすめのレシピなどもご紹介するため、ぜひ参考にしてください。
鯛の種類
日本では鯛と名のついた魚が非常に多く、約200種ほどいると言われていますが、単に鯛と呼ぶときは真鯛のことを指し、一般的にはスズキ目タイ科の魚すべてをさす名称として使われています。
真鯛はもちろん、クロダイ・チダイ・キダイ・ヘダイなどの限られた種類だけが、タイ科に分類されています。
鯛を代表する真鯛は、赤い色が美しく、慶事に使われる魚です。「目出鯛(めでたい)」と語呂もよく、古くから日本人に愛されてきました。
本記事ではポピュラーな鯛である、真鯛について栄養素や調理法をご紹介します。
鯛のカロリーと栄養素
天然の生の真鯛100gあたりのカロリーは142kcalです。たんぱく質は20.6g含まれており、この数値は豚の赤身肉や鶏の胸肉に近いとされています。
また、魚類のなかでは脂質が高めですが、含まれているのは身体によい効果があり積極的に摂りたい不飽和脂肪酸で多くを占められています。ほかにもカリウムやビタミン、ナイアシンなどが含まれています。
鯛の栄養素
・たんぱく質
・脂質
・カリウム
・ナイアシン
・ビタミンA
鯛の栄養素1:たんぱく質
たんぱく質は筋肉や皮膚、臓器、毛髪などを構成する人体にとって重要な栄養素のひとつです。また、ホルモンや免疫物質をつくったり、体中へ栄養を運ぶ働きもあります。
近年ではダイエットをする際に、たんぱく質摂取の重要性が唱えられており、カロリー制限などで食事量が減ると不足しやすくなります。そのため、意識して摂取する必要があります。
鯛の栄養素2:脂質
脂質は効率のよいエネルギー源であり、細胞膜を構成する成分となったり、ビタミンの吸収を助ける働きがあります。
鯛に含まれる脂質には不飽和脂肪酸が多く、そのなかでも青魚に多く含まれることで有名なDHAやEPAが鯛にも含まれています。DHAやEPAには、中性脂肪やコレステロールを下げたり、血栓ができるのを防いで血液の流れを改善する効果などが期待できます。
鯛の栄養素3:カリウム
カリウムには細胞の浸透圧を調整する機能があり、過剰に摂取したナトリウムを排出してくれる働きがあります。それによって、高血圧を防いだり、むくみを解消する役割があるとも言われています。
カリウムはカルシウムを骨に蓄積する効果を高めてくれるため、骨粗しょう症の予防効果も期待できます。
鯛の栄養素4:ナイアシン
ナイアシンは、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、体内で酸化還元酵素の補酵素の構成成分として働き、たんぱく質・脂質・炭水化物をエネルギーに変えるのに不可欠な栄養素です。
生体中に最も多量に存在するビタミンであり、欠乏すると皮膚炎や下痢、精神神経障害などを引き起こすと言われています。
鯛の栄養素5:ビタミンA
ビタミンAは、目や粘膜を健康に保ったり、抵抗力を高める働きや、薄暗いところで視力を保つ働きがあります。ビタミンAに含まれるレチノールは、上皮細胞で発癌物質の効果を軽減するという報告もあります。
ビタミンAが不足すると、薄暗いところでの視力が落ちて夜盲症になったり、目や皮膚などが乾燥して角質化が起こる可能性があります。しかし、過剰摂取によっても肝障害を起こす場合もあるため、摂取量には注意が必要です。
鯛はダイエットに効果がある?
鯛に含まれるナイアシンは、エネルギー代謝に関わる酵素の働きを助けます。酵素の働きが上がることで、栄養素が効率よくエネルギーに変えられるでしょう。
また、むくみを解消するカリウムや、中性脂肪やコレステロールを下げてくれるDHAやEPAも含まれているため、鯛はダイエットの効果が期待できるでしょう。
鯛を使ったおすすめのレシピ
鯛はクセがないためどんな食材とも相性がよく、調理法も幅広いのが特徴です。ただし、優しい味わいをいかすためにも、クセが強すぎる食材や濃い味つけには注意しましょう。
漁場により差はありますが、鯛の旬は産卵期直前の春と、産卵期から回復して脂がのった晩秋の2回になります。おいしい季節に見ごろを迎える植物にたとえて春は「桜鯛」、秋は「もみじ鯛」とも呼ばれます。
旬の食材と合わせて、おいしく鯛を食べましょう。
鯛のおすすめレシピ1:鯛めし(たいめし)のレシピ
ハレの日の定番、鯛めしです。一尾丸ごと尾頭つきの鯛ではなく、切り身を使用するのがポイントです。
炊き込みご飯のなかでも松茸ごはんと同じくらい高級感のある鯛めしですが、ご家庭でもおいしくつくれます。炊飯器で調理できるため、気軽に挑戦できるでしょう。ぜひお試しください。
鯛のおすすめレシピ2:鯛のトマトソース
塩焼きや煮つけなど和食が思い浮かびがちな鯛ですが、洋食でもおいしくいただけます。
鯛をおしゃれに、にんにくやハーブの香りが効いたトマトソースと合わせます。鯛の上品な白身とトマトの酸味が相性抜群で、ご飯にもパンにも合うおかずです。
オリーブ油を使って調理することで、油に溶けやすい鯛のビタミンA・D・Eなどの体への吸収率が高まります。おいしいだけでなく、栄養素を効率よく摂れるレシピです。
鯛のおすすめレシピ3:鯛のフェットチーネ
鯛は身くずれしにくいため、パスタの具として和えると見た目もきれいに仕上がります。鯛の淡白な身がクリームソースと相性抜群なおすすめパスタです。
クリームソースが絡みやすい幅広のフェットチーネというパスタを少しやわらかめにゆでて和えるのがポイントです。
鯛をおいしく食べよう!
鯛は日本人にとって慶事の料理に欠かせない食材で、食卓に出てくると特別な気分になります。高級な印象の鯛ですが近年は養殖ものも増えており、買いやすくなっています。うれしい健康効果もあるため、ぜひ日々のおかずに取り入れてください。
ご紹介したレシピを参考に、鯛をおいしく食べましょう。
監修者ミニコラム:赤い真鯛は日焼けさせちゃダメ?真鯛の赤色の秘密とは?
赤い色がめでたく、美しいとして、祝いの席に重宝される真鯛。その体色は、エサとなるエビやカニ由来のアスタキサンチンで、皮に色素成分として蓄積されます。
アスタキサンチンには、抗酸化作用があるので魚体へのダメージを防いでくれますが、体色は黒っぽく変わってしまいます。そうなると真鯛としての商品価値が下がってしまうため、太陽光が届く生け簀で養殖されている真鯛には、日除けや色付け用のエサが必須なのだとか!
本来は、光が届きにくい深さでエビやカ食べて生息してるので、天然ものは赤いのですが、それでも産卵期が近づくと、オスだけは婚姻色として黒く変わってしまうという習性が……。
真鯛は色で判断せず、鮮度のよさで選んでみては?