知らない間に定期購入してる!? 今増えているネットのプチプラ商品トラブルに要注意【専門家が解説】
2023/05/22
インターネット通販の「お得」「低価格」をうたう商品購入のトラブルが増加しているのをご存じですか?なぜ多くの人がトラブルに巻き込まれてしまうか、節約アドバイザーの丸山晴美さんに現状を解説してもらいました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2023年5月時点の取材情報を基にしています。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「プチプラ購入トラブル」!
定期購入トラブルは2023年1月の1カ月間に1万件以上!
2023年3月、国民生活センターが「通信販売による定期購入」のトラブルが急増しているという情報を発表しました。
それによると、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET/パイオネット)に登録された相談は、2021年度は5万8,526件だったのが、2022年度は2023年2月末までで7万4,146件に増加。
相談が最も多かったのは2023年1月で、1カ月に1万件以上もの相談が寄せられたそうです。
通信販売での「定期購入」に関する相談の年度別推移(※1)
※1:2021年度同期件数(2022年2月28日までの登録分)は47,617件
通信販売での「定期購入」に関する相談の受付月別推移(2022年度)(※2)
※2:相談件数等は2023年2月28日までのPIO-NET登録分。
お得に気を取られてハマってしまう「落とし穴」とは?
トラブルの内容はさまざまですが、私が最近多く聞くのが「モニター募集のトラブル」です。
ワンコインで化粧品やサプリメントなどの商品を試せるというもので、「お得」と思って申し込んだら、知らないうちに定期購入契約になっていたというパターン。さらに、ワンコインは初回のみで、2回目以降は高いお金を支払わなきゃいけないケースが少なくありません。
解約しようとしてもなかなか電話が繋がらず、やっと繋がったと思ったら、「解約できるのは5回目以降で、それ以前の解約は未払い分を支払う必要がある」と言われてしまうなど、トラブルが多発しています。
解約、キャンセル、返品のトラブルは、モニター募集にかかわらず、ネット購入で多く見られます。
「効果がなかったら返金します」とうたっている場合でも、商品が入っていた箱と納品書がきれいな状態でないと返金してもらえなかったり、中には医師の診断書を求められたりするケースも。
これらは一見、詐欺のように思えますが、実はそうでありません。
例えばワンコインモニターの場合なら、「定期契約したかたに限り初回購入金額がワンコイン」「解約できるのは5回目以降」などの規約や約款がホームページや申し込みページに必ず書かれています。他のトラブルの場合も同様です。
ただ、その規約や約款の文字が極端に小さかったり、誤解しやすい表現になっていたり、スマホ画面だと見えにくい場所に書かれていたりして、それを読まずに申し込んでしまうためトラブルになるのです。
成年年齢引き下げで、10~20歳代の定期購入トラブルも増加!
こうしたトラブルは、10~20歳代の若者にも増えています。
2022年4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、保護者の同意がなくてもクレジットカードを作ったり、さまざまな契約ができるようになりました。それに伴い、定期購入の契約トラブルに巻き込まれる10代が増えているのです。
未成年者であれば、保護者の同意を得ずに結んだ契約は原則取り消すことができる「未成年者取消権」があります。でも、成人が結んだ契約の責任を負うのは本人。18歳以上のお子さんがいるかたは、子どもの定期購入トラブルにも目を配る必要があるでしょう。
「契約後でも契約をやめることができるクーリング・オフがある」と思う人も多いでしょうが、実はインターネット通販にクーリング・オフ制度はありません。そのため、泣き寝入りしなければならないことも少なくありません。
もちろん、大手通販会社など、問題のないプチプラや定期購入もありますが、そうではない「危険なプチプラ」「あやしい定期購入」も少なくないのが実情です。
まずはこうした現状を家族で共有し、「お得な情報」に安易に飛びつかないようにすることが大切です。
取材・文/かきの木のりみ