「マグネシウムをとるならアーモンドがいい」という話は聞いたことがあるでしょうか?
そのなかでもとくに効率的に摂取できる栄養素がマグネシウムだそうです。
ただし、マグネシウムは組み合わせる食品によって、摂取効率がよくなることもあれば逆効果になることもあるんだとか。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、アーモンドがすすめられる理由やアーモンドと相性のよくない食品について紹介してもらいます。

マグネシウムにはどんな働きがある?
マグネシウムとは、わたしたちの体の中に25gほど存在するミネラルのこと。筋肉、脳、神経など、全身の細胞に存在しており、全体の半分以上が骨や歯に含まれています。
そんなマグネシウムには生命維持に必要な体内の酵素の働きを活性化したり、筋肉の収縮や血管の拡張に関わり、神経伝達を正常にするなどの働きがあります。
マグネシウムが不足すると不整脈が生じやすくなったり、慢性的な不足では虚血性心疾患や動脈硬化症などのリスクが高くなります。さらに、不足状態が長期間続くと、骨粗鬆症、心疾患、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の原因となるおそれも……。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日の推奨量は18~29歳男性で340mg、30~64歳男性で370mg、18~29歳女性で270mg、30~64歳の女性で290mgですが、「令和元年 国民健康・栄養調査」によればほとんどの年代で不足傾向にあるそうです。
マグネシウムをアーモンドからとるのがおすすめな理由は?
マグネシウムを豊富に含む食品には、あおさ・乾燥わかめ・ひじき・昆布などの海藻類、米ぬか、乾燥バジル、かぼちゃの種、ピュアココア、インスタントコーヒーなどがあります。これらすべては100gあたりに400mg以上のマグネシウムを含みます。
ただし、いずれも通常の食生活では50gでさえとることが容易ではありません。そのため量をとりやすい食品で探してみると、マグネシウム含有量が100gあたり310mgであるアーモンドにいたるわけです。
アーモンド(※)であれば、片手の平いっぱいにのるくらいの25粒(25gくらい)を食べるだけで1日の推奨量の1/4~1/5ほどを補給することが可能に。さらに調理の必要がなく、食事に限らず間食としても手軽に取り入れることができる食品となっています。
それ以外に、玄米もマグネシウムを多く含む食品で一度に多くとることができ、1杯(150g)あたりのマグネシウム含有量はアーモンド25粒とほぼ同じ。玄米ごはんを1日に2杯以上食べるのであれば、アーモンドよりも効率よくマグネシウムをとることが可能になります。
大きめのがんもどき(100gくらい)や納豆2パック(100gくらい)も、多めにマグネシウムがとれます。ただし、これらはいずれもアーモンドのように間食などで手軽にとるには向いていないといえます。
どれか1つの食品だけで1日の推奨量を満たすのではなく、これらを組み合わせるようにして摂取するのがおすすめです。
※……この記事では、炒りアーモンド(無塩)について述べています。
アーモンドと相性が悪い食品の組み合わせは?
そんなマグネシウムの補給源として理想的なアーモンドですが、いっしょに摂取する食べ物によっては吸収率を下げてしまうことも。具体的には「シュウ酸」、「リン」、「カルシウム」をとり過ぎるとマグネシウムの吸収を抑えてしまうことがわかっています。
「シュウ酸」を多く含む食品
・ほうれん草(生)
・パセリ
・チョコレート
・ココア
「リン」を多く含む食品
・インスタント食品
・スナック菓子
・食肉加工品(ハム、ソーセージなど)
「カルシウム」については、骨や内臓ごと食べられる魚貝類、乳製品などにとくに多く含まれますが、マグネシウムの摂取量に対して2倍程度であれば大きく影響は与えないといわれています。カルシウムを積極的にとる場合は、マグネシウムの補給も忘れないようにするといいでしょう。
なお、上記に加えてフィチン酸の名が挙げられているケースもありますが、同成分がマグネシウムの吸収率に影響するのは、肉、魚、野菜、果物をまったく食べないなど極端に偏った食生活を続けた場合に限ります。日本の食事事情を鑑みれば、気にする必要はほぼないと筆者は考えています。
アーモンドを工夫して取り入れてみよう!
ご紹介したように、アーモンドと組み合わせないほうがよい食品はいくつもあります。「おいしいから」「好きだから」などといった理由によって上記で述べた組み合わせを頻繁に食べてしまうと、それぞれの食品のメリットを打ち消してしまいかねません。
ただし、いずれも極端に多くとるなどしなければ影響は小さいと考えられます。食べ合わせを気にするあまり摂取を控えるようになってしまっては元も子もないでしょう。
なお、マグネシウムの吸収率を高めたいのであれば、「ビタミンD」を含む食品を組み合わせる方法があります。ビタミンDは魚介類やきのこに多く含まれるため、これらは相性がよい食品といえるでしょう。
アーモンドはそのままで食べることが多いですが、じつはアレンジも簡単です。料理に使うのであれば、サラダ、おひたし、麺類などに砕いてトッピングしたり、焼き菓子に混ぜたりすると食感や風味がアクセントになります。
マグネシウムを効果的に補うために、ぜひこういったことを参考にしてみてはいかがでしょうか?