「コチュジャン」がないときの代用レシピを検証!おすすめの組み合わせも紹介【管理栄養士が解説】
2022/07/19
レシピをチェックしていざ料理をつくろうとしたところ、必要な調味料が切れていた……なんてこと、誰しも一度は経験があるでしょう。
でもその調味料、もしかしたら代用できるかもしれません!
今回ご紹介するのは「コチュジャン」の代用アイデア。
コチュジャンは韓国料理のレシピに使われることが多く、サムギョプサルやビビンバでは、薬味として生野菜に付けたり、ご飯に混ぜて食べられています。そのほかにも、鍋物、煮物、炒め物、和え物などに使われ、ピリ辛の味付けにとても役立つ調味料の一つです。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、コチュジャンの代用アイデアをレシピ付きで紹介してもらいます。
コチュジャンの原材料は?
コチュジャンは、韓国語で「コチュ」=唐辛子、「ジャン」=調味料、を意味しています。もち米、大豆麹、唐辛子粉、食塩などが使われている韓国の発酵調味料です。地域によっては、もち米の代わりに小麦粉やさつまいもなどでつくられることもあります。
本場のコチュジャンには、日本産の唐辛子よりも辛味が弱い「韓国唐辛子」が使われることもあり、真っ赤な見た目のわりに激辛というほどの辛味はありません。マイルドな辛味以外には、甘辛い味とコクが特徴的で、韓国料理にうま味を加えるためにもよく使われています。
「辛味」「甘味」「うま味」をバランスよく含むところが、コチュジャンのおいしさの決め手といえます。
代用できる調味料は?
発酵食品であるコチュジャンは、簡単な材料をそろえて漬け込んで手作りすることも可能です。しかし、すぐに使いたいときは発酵するまで待つことはできません。そこで、混ぜるだけでコチュジャンの味に近づける方法をピックアップ。
以下、筆者の自宅にあった調味料でつくれる代用レシピをご紹介します。括弧内は、重量比となっています。
【1】甘酒 × 塩 × 唐辛子(10:1:1)
【2】甘酒 × 味噌 × 醤油 × 唐辛子 × 塩 × にんにく(10:2:2:1:0.8:0.1)
【3】味噌 × 砂糖 × 唐辛子 × にんにく(3:1.2:1:0.1)
【4】味噌 × 砂糖 × 醤油 × 唐辛子(4:2:1:1)
【5】味噌 × 塩麹 × みりん × 唐辛子(3:2:2:1)
甘酒は米麹甘酒、味噌は米味噌(中辛口相当)を使用しています。また、一般的に唐辛子は粉末タイプが使用されますが、自宅には輪切り唐辛子しかなかったため、ミルサーで粉砕してさらにすり潰したものを使用しました。
つくり比べてみた結果……
コチュジャンは、商品によって原材料や製法の違いから、見た目や味に差があります。
一般的に、コチュジャンは赤くてボテッとしたものをイメージする人が多いと思いますが、前述のとおりメーカーによって原材料が異なるため、味だけでなく見た目にも違いが現れます。今回比較したコチュジャンは、少し粘りがある質感で、少量取り出すと形を維持できるような状態でした。
上段左から順に【1】~【3】、下段左から順に【4】~【5】と混ぜ合わせたものを並べたのですが、見た目はさまざま。
そのまま舐めてみると、どれも辛味があるので比較しにくかったため、具材を何も加えないチヂミと蒸してごま油を絡めたキャベツを用意し、【1】~【5】を少量付けて食べ比べてみました。
このなかから個人的に味が気に入り、コチュジャンの代用に良さそうと感じたのは、次の3種です!
【3】味噌×砂糖×唐辛子×にんにく
見た目は水分が少なく硬そうな感じで扱いにくかったですが、「辛味」「甘味」「うま味」のバランスが一番取れていました。程よい辛味が効いていて、まさに「旨辛」という表現が合うと感じました。
チヂミとキャベツに直付けして味見をした場合、一番食べ進めやすかったのがこちらです。
【2】甘酒×味噌×醤油×粉唐辛子×塩×にんにく
見た目は水分が多くゆるゆるでしたが、直付けして食べるには支障ありませんでした。【3】と比べると、やや甘味が弱いですが、「辛味」「うま味」のバランスは取れていました。甘酒、味噌、醤油と、うま味が含まれている調味料がいくつも使われていることに加え、にんにくも一緒になって複雑なうま味をつくり出している印象でした。
辛いけれど、また食べたくなる味でした。
【4】味噌×砂糖×醤油×粉唐辛子
見た目は、一番コチュジャンに近い仕上がり。【2】、【3】と比べてにんにくがない分、味にパンチが弱い部分はありましたが、それでも「辛味」「甘味」「うま味」のバランスは取れていたと思います。
いくらか、ほかよりも辛味をマイルドに感じたので、味見のし過ぎで辛さに疲れた舌には心地良かったです。
※配合比率は筆者が試してみておすすめと感じたものです。各調味料のメーカーによって味や風味が異なるので、お好みで加減してみてください。
※【1】~【5】の辛味・甘味・塩分量は、それぞれ異なっています。配合時の分量をわかりやすくする都合で、調整していませんのでご了承ください。
代用コチュジャン作成時の注意点
・甘酒は、米麹甘酒と酒粕甘酒がありますが、それぞれ甘さの素となる糖分の種類や含有量が異なります。一般的には、米麹甘酒よりも酒粕甘酒に含まれる糖分の方が、甘味を強く感じやすくなっています。メーカーによっても甘味に差があるので、味見をしながら量を加減して甘酒を加えることをおすすめします。
・味噌は、原料や発酵期間の違いによって、風味や塩分量に大きな差が出ます。今回は、中辛口の米味噌を使用しましたが、豆味噌を利用する場合は塩辛く、麦味噌や米味噌の甘口(白味噌など)を利用する場合は甘味が強くなる可能性があります。ご紹介したレシピの分量を参考にする場合は、米味噌の中辛口を目安にしてみてください。
・唐辛子は、韓国唐辛子を選ぶと辛さがマイルドに仕上がります。また、輪切り唐辛子を粉砕・すり潰したものは、のちに粉末唐辛子を購入してつくり比べましたが、辛さや色味には大きな違いが見られませんでした。ご自宅にある使いやすいものをご利用ください。
・唐辛子がない場合は、「豆板醤(トウバンジャン)」、「甜面醤(ティンメンジャン)」、「ラー油」などを使って代用する方法も存在します。豆板醤には「辛味」「うま味」、甜面醤には「甘味」「うま味」、ラー油には「辛味」のほかに香ばしく食欲をそそる香りが含まれています。こういった調味料を使う場合は、これらの特徴を利用してレシピの食材に置き換えてみてください。
代用コチュジャンの楽しみ方は?
代用レシピの食べ比べでは、コチュジャン単体を各料理と合わせましたが、一般的にはほかの調味料と合わせる使い方が多くなっています。
コチュジャンにごま油とすりおろしにんにくなどを合わせたり、醤油や酢などで味を調えれば、「冷麺」、「ビビン麺」、「刺身のコチュジャン和え」(マグロ、サーモン、イカ、貝類など)に合わせた食べ方もおすすめです。
日本でも人気を博している「チーズタッカルビ」も、うま辛味に仕上げる場合にコチュジャンのアクセントがとても効果的です。
コチュジャンを手作りするメリットとしては、使い切れるか心配で買うのを迷っている場合や、辛味と甘味を自分好みに調整できることなどがあります。ご自身やご家族の味覚に合わせて、ぜひオリジナルの代用コチュジャンを楽しんでみてくださいね!