【韓国ドラマ】『赤い袖先』イ・ジュノ(2PM)が宮女を一途に愛する王を熱演!美しくも切ない歴史ロマンス超大作を韓ドラマニアが徹底解説!
2024/12/02
野獣アイドル2PMのメンバーとしてデビューしたイ・ジュノは、アイドルとして磨いてきた「魅せる表現」で俳優としても躍進を続けています。
そんなイ・ジュノの除隊後復帰作である『赤い袖先』は王朝を舞台にしたラブロマンス超大作です。
朝鮮王朝史上最も波瀾万丈な運命だったとされる名君イ・サンを熱演したイ・ジュノは、MBC演技大賞ミニシリーズ部門で男性最優秀演技賞を受賞。その他にも数々の演技賞を受賞する快挙を成し遂げました。
イ・ジュノがアイドル出身俳優「演技ドル」から韓国のトップ俳優へ上り詰めた本作の見どころは?
韓ドラマニアで韓国ドラマライターのJUMIJUMIさんに徹底解説してもらいましょう!
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- あらすじ:後に王となるイ・サンと一人の宮女が出会い、運命の歯車が動き出す…。
- 知っていると『赤い袖先』がもっと面白くなる!韓国時代劇用語講座!
- 見どころ:王の愛、宮女の生き様。2人の運命に心震える感動が待っています。
- 『赤い袖先』は何で見られる?
あらすじ:後に王となるイ・サンと一人の宮女が出会い、運命の歯車が動き出す…。
幼い頃から宮女として宮廷に仕えるソン・ドギム(イ・セヨン)は、達筆で物語の朗読も得意。明るく賢く好奇心旺盛で、仲間や王族からも慕われています。
一方、祖父である王・英祖により父親を殺された世孫イ・サン(イ・ジュノ)は、英祖の厳しく歪んだ愛情や水面下で蠢く逆賊に常に緊張しながら、それでも必死に聖君になることを目指しています。
ある日、足を踏み外し丘の斜面を滑り落ちたドギムは、たまたま近くにいたサンを巻き込み池に落下!
罰として反省文を書くことになったドギムですが、何度も何度もサンに書き直しを命じられてしまいます。
また様々な誤解からサンを兼司書(キョムサソ)だと思い込んでいるドギムは、宮女を見下すような言動に腹を立て、箒で追い払ったり塩を投げつけたりと猛攻撃!自分がお仕えしている世孫様だとも知らずに…。
しかしサンは真っ直ぐで物怖じしない強さがあるドギムに徐々に心惹かれていくのでした。
その後サンの至密内人(チミルナイン)となったドギムは、陰謀により危うい立場に陥るサンを、その聡明さで幾度となく助けることに。
自分の命が危険に晒されようともサンを守ることを最優先に考え行動するドギム。それは単に宮女としての忠誠心だけなのでしょうか?
王と宮女。身分の違う2人の純愛が、歴史上最も美しく切ないラブロマンスを紡いでいきます。
知っていると『赤い袖先』がもっと面白くなる!韓国時代劇用語講座!
タイトル『赤い袖先』に隠された意味とは?
本作の韓国語の原題は『袖先赤いクットン』です。クットンとは女性が着るチマチョゴリの袖先の、違う色の布で足された部分のことを言います。
宮女が着るチマチョゴリのクットンには赤い布が使われていて、これには「宮女は王の女である」という意味があります。
王を心から慕い一生を捧げなければならないのが宮女の宿命。一度宮廷に仕えれば、引退して宮廷を離れたとしても生涯結婚することは許されません。
本作の第一話でも、王・英祖がまだ幼い見習い宮女のドギムに「赤い袖先」の意味について語るシーンがあります。
サンが呼ばれている「世孫(セソン)」とはどんな意味?
「世孫」とは王の孫である王位継承者の呼称です。サンは王・英祖の孫であり王位を継ぐ者として「世孫様」と呼ばれています。
王の子である王位継承者は「世子(セジャ)」といいます。サンの父親である世子イ・ソンはすでに亡くなっていて、「思悼世子(サドセジャ)」と呼ばれています。
実在した英祖と世子ソンの話は有名で、これまで韓国映画やドラマでも数多く描かれています。
英祖はソンに対してあまりにも厳しく、精神的に病んでしまったソンは多くの罪を犯し、最終的に英祖の命令で米櫃に閉じ込められ亡くなるのです。
本作にもその悲劇的な物語が反映されているため、サンは実の父を実の祖父に処刑されたという難しい立場にいて、ソンの分までのし掛かる英祖からの期待や重圧に苦悩しながら成長していきます。
「兼司書」ってどんな役職?
兼司書(キョムサソ)とは朝鮮時代の世子や世孫に教育を行う部署の官職の名前です。
本作では幼い頃からサンに仕えてきたホン・ドンノ(カン・フン)が兼司書として、サンの側近のような役割をしています。
一般的に宮女だとしても、近くで世話を任された者以外は王族の顔をまともに見ることも許されません。ドギムもサンが暮らす東宮殿の宮女ですが、サンの顔は知りませんでした。
書庫で偶然出会い顔を合わせたサンとドギムですが、自分が世孫であることを隠すためにサンが「兼司書のホン・ドンノだ」と名乗ったことから、3人の間で様々な誤解が生じていきます…。
ドギムの役割「至密内人」とは?
宮廷に仕える宮女は500人以上いたと言われています。下級の宮女を内人(ナイン)といい、約30年働くと尚宮(サングン)と呼ばれる位に昇格することが出来ます。
王族の料理を作る水刺間(スラッカン)、着る物や寝具などを作る針房(チムバン)、お菓子やお茶などの間食を用意する生果房(センクァバン)など様々な部署があります。
本作ではドギムの親友であるギョンヒは針房、ボギョンはトイレなどの世話をする洗手間(セスッカン)、ヨンヒは掃除や洗濯などの雑務を行う洗踏房(セタッパン)に属しています。
そんな中で王族の最も近くで秘書のように身の回りの世話をする役割が至密(チミル)です。
サンの至密内人となったドギム。サンが書を書き始めれば硯に水をさし墨をすり、入浴すれば薬剤を入れて湯温調整するなど、その仕事は多岐にわたります。
常に王族の側にいる至密は見なくていいものを見てしまったり、陰謀に巻き込まれることもしばしば…。
見どころ:王の愛、宮女の生き様。2人の運命に心震える感動が待っています。
見どころ1:カリスマ溢れる聖君イ・サンの恋する姿にキュンキュンが止まらない!
宮中には処刑された世子を罪人だと考える者も多く、その子であるサンが王位を継ぐことに反対する勢力の影も見え隠れしています。
英祖は孫としてサンに愛情を持ちながらも、王位継承者として非常に厳しく接していました。またサンの聡明さを知っているからこそ「いつか自分を裏切るのではないか」と疑心も抱いています。
そんな難しい環境で育ってきたサンですが、勉強熱心で国民を大切に想う気持ちも深く、国を良くしようと誠実に努力をしています。
その姿は後光が差すようなカリスマ溢れる、まさに聖君!
しかしそんなサンもドギムに惹かれるようになってからは、恋に戸惑う可愛い姿を見せてくれます!
ドギムが同僚と自分の話をしているのを耳にすれば嬉しくて飛び跳ねたり、ドギムのことを考えて勉強に集中出来なくなったり、思わず護衛に恋の相談をしてしまったり。
他を寄せ付けない凛々しい世孫様と、純粋に恋をする一人の男サン!そのギャップにハマること間違いなしです。
そして後半、サンは王・正祖となりますが、その志は変わりません。
王として国のことを第一に考えなければいけないサンとドギムの恋の行方はどうなっていくのでしょうか…。
その運命を見届けた時には、きっと大きな感動と涙に包まれることでしょう。
サンを演じたイ・ジュノの他の出演作品は?
『記憶〜愛する人へ〜(2016年)』、『キム課長とソ理事〜Bravo! Your Life〜(2017年)』『ただ愛する仲(2017年)』、『キング・ザ・ランド(2022年)』などがあります。
見どころ2:王にも世孫にも物申す!物怖じしない強い女性ドギムに憧れる!
曲がったことが嫌いなドギムは自分の意思をしっかり持っていて「NO」とハッキリ言える性格。相手が誰であれ恐れることなく物申します!
命知らずとも言えるその度胸は、時に王族の心も動かし窮地に陥ったサンを救うことも。そしてドギム自身の運命も大きく動かしていくことになります。
サンの至密内人となり、聖君を目指し努力する姿や、宮中で次々と起こる問題を乗り越え成長する姿を間近で見ていくドギム。サンを慕う気持ちが生まれ、サンの気持ちにも気付きます。
しかしドギムは宮女こそが自分らしくいられる生き方だと誇りを持っています。
サンの愛を受け入れるということは、側室になるということ。側室になれば煌びやかな生活が待っているかもしれませんが、今の生活全てを失います。
王となるサンをどんなに愛しても、自分は数いる側室の一人に過ぎません。サンは全国民の王であり、決して自分のものにはならないのです。
それをよく解っているドギムは、どのような人生の選択をするのでしょうか?
最後まで真っ直ぐに生き抜いたソン・ドギムに、同じ女性として強い憧れを感じました。
ドギムを演じたイ・セヨンの他の出演作品は?
1992年生まれのイ・セヨンは5歳のころからテレビに出演し、子役としてさまざまな映画/ドラマに出演し活躍していました。美しく成長した今は『王になった男(2019年)』、『医師ヨハン(2019年)』、『カイロス〜運命を変える1分〜(2020年)』 などに出演しています。
見どころ3:脇を固める豪華キャスト!彼らとの絆に感涙必至!
王・英祖(イ・ドクファ)
王・英祖を威厳と貫禄たっぷりに演じたのは、韓国ドラマに欠かすことのできない重鎮イ・ドクファ。
『社内お見合い』ではアン・ヒョソプ演じるテムの祖父役。『怪しいパートナー~Destiny Lovers ~』ではチ・チャンウク演じるジウクらが勤める弁護士事務所の代表役。『ジキルとハイドに恋した私』ではヒョンビン演じるソジンの父役など、いつも存在感ある演技を見せてくれます。
兼司書ホン・ドンノ(カン・フン)
サンの側近で兼司書でもある野心家ホン・ドンノを演じたのは、『シスターズ』『新米史官ク・ヘリョン』など話題作への出演で注目度急上昇中のカン・フン。
ドギム師匠ソ尚宮(チャン・ヘジン)
『愛の不時着』『女神降臨』映画『パラサイト 半地下の家族』などの個性的な母親役で知られるチャン・ヘジン。本作ではドギムの師匠であるソ尚宮を演じています。
ドギムとの師弟関係は時に母娘に見えるほど深く、そんな2人の関係性にホロリと涙してしまうシーンも。そしてドギムの親友3人など、長い時間苦楽を共にしてきた宮女同士の友情も美しく描かれています。
護衛カン・テホ(オ・デファン)
サンの護衛カン・テホを演じているのはオ・デファン。『ショッピング王ルイ』ではソ・イングク演じるルイの兄的存在となるインソンを演じるなど、名脇役として知られています。
本作では常にサンの側にいて、サンにとっては恋愛の先輩!?武闘以外の部分は少し抜けていますが、サンに対する熱い忠誠心にはグッとくるものがあります。
『赤い袖先』は何で見られる?
筆者の感想:観終わっても余韻が抜けない…。美しく切なく温かい感動作でした。
本作はとにかく情景が美しく、うっとり見惚れてしまうようなシーンがいっぱい!
幼いドギムとサンが二人で灯籠が並ぶ道を歩くシーン、斜面から滑り落ちてきたドギムをサンが受け止めるシーン、ドギムとサンが仲を深める離れの庭のシーンなど、挙げれば切りがありません。
一つ一つ丁寧にこだわりを持って作られているのを感じ、「歴史ラブロマンス超大作」と呼ばれるのにも深く納得です。
そして兵役を経て本作に挑んだイ・ジュノは、これまでよりも男らしい色気や貫禄がまた一段とアップ!
常に世孫らしい気品や威厳を醸し出しながら、心の中では様々な恐怖と戦っている難しい役柄だったと思いますが、私は「この王の時代なら生きてみたい」と思うほど魅力を感じました。見事に新しい「王様像」を作り上げたと思います。
ドギムを演じた「時代劇の女神」イ・セヨンとの息の合ったケミストリーにも釘付けにされてしまいました。
これまでの時代劇では女性なら誰もが王族の仲間入りをしようと必死で、側室の中でも激しい女の戦いが起きたり、特に宮女から側室になることはこれ以上ない幸運のように描かれている印象がありました。
しかしドギムはそうではありません。
大切な師匠や仲間と出会い、宮女という仕事に誇りを持ち、書の写し書きや朗読など自分が好きなことにも真っ直ぐでした。
「私は自分が一番大事」というセリフが特に印象的でしたが、激動の時代の中でもブレない自分軸を持って強く生きていました。
そんなドギムの生き様は現代社会を生きる私たちにも共感でき、勇気が必要な時のお手本にもなるのではないでしょうか。
イ・サンを題材にしたこれまでの作品と違い、物語の中に史実をしっかり反映しながらも、イ・サンだけではなく彼に愛された一人の宮女の人生や心情をしっかり掘り下げている本作。
時代劇としても、ラブロマンスとしても、人生ドラマとしても見応えがあり、トキメキ・切なさ・笑い・感動までたくさんの感情を突き動かされました!
■執筆/JUMIJUMIさん…韓国留学を機に韓国の文化に魅了される。年間30作品以上の韓国ドラマを視聴し、またライターとして情報発信も積極的に行う。ただ作品の内容を説明をするだけでなく、食や生活様式など文化面から掘り下げた解説を得意としている。インスタグラムはjumistyle99。