ミネラルウォーターは8%、じゃあ水道水は?直前予習!「軽減税率」で知っておきたいポイント
2019/09/27
消費税アップはもう目の前。毎日のようにテレビ番組などで「軽減税率」を取り上げた企画が行われています。それらでいわれているように、「軽減税率」には間違えやすい点やわかりにくいポイントがたくさんあります。そこで「軽減税率」スタート直前予習として、特に主婦が気をつけるべき点、知っておきたいポイントを、節約アドバイザーの丸山晴美さんに教えていただきました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて19年8月末に行った取材を元にしています。そのため一部内容が現在とは異なる可能性があります。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「主婦のための軽減税率最終チェック」です!
「本みりん」と「みりん風調味料」では税率が違う!?
そもそも軽減税率とは、今回の消費税アップに伴って導入されたもので、低所得者の消費税負担が重くなりすぎないように、飲食料品を中心とした「生活に最低限必要な物の税率は8%のまま据え置く」という措置です。対象となるのは、「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」です。
軽減税率の対象商品リストは18年に発表されていますが、19年7月に出された改訂版で一部変更となった部分があります。まずは、そこからご紹介しましょう。
7月の改訂版での変更で主婦に直接影響があるのが、軽減税率の対象外である「酒類」についてです。
「酒類」とは酒税法により、「アルコール分が1度を超えるもの」をいいます。そのため、アルコール分1度未満のノンアルコールビールや甘酒などは「酒類」ではなく「飲料品」に分類され、消費税は8%のままです。
一方、「料理酒」や「みりん類」はアルコール分1度以上なので、消費税10%とされていました。
しかし7月の改定で、「料理酒」や「みりん類」、「発酵調味料」はアルコール分が1度以上であっても、塩などを加えたことにより「飲用できない」ので「酒類に該当しない」と判断され、消費税8%に変更となりました。
ただし、「本みりん」は、原材料にもち米や米麹、アルコールから造られ、塩分が入っていないもので、改訂版でも「酒類」に分類されています。
つまり、「みりん風調味料」や「料理酒」、「発酵調味料」は消費税8%ですが、「本みりん」は10%になります。
「軽減税率」がわかりにくいといわれるのは、こうした混乱しやすい点がたくさんあるから。これからは、こういう点を踏まえて買い物をしないといけませんね。
水道水は10%、粉ミルクは8%、ではペット用ミルクは?
上記のような間違いやすいケースはほかにもあります。例えば「飲む水」についてです。
水道水は人が飲みます。なので「飲食料品」だと思いがちですよね。でも、水道水は風呂や洗濯でも使います。この場合は当然飲めません。純粋な「飲料」ではないとの判断から、水道水は消費税10%になります。
一方、ミネラルウォーターやウォーターサーバーの水は、純粋に「人が飲料として買う物」なので消費税8%です。赤ちゃんの粉ミルクや離乳食も、もちろん8%です。
ただし、ペット用のミルクやフードは10%。ペットは家族という意識が一般的になってきてはいるものの、人間ではないので軽減税率の対象外というわけです。
ちなみに、家庭菜園などで購入するピーマンやナスなどの種や苗はどちらだと思いますか?
これらは、いずれは食べ物になりますが、買った時点では「食べ物ではない」ので消費税10%です。
サプリメントや健康食品は表示内容によって異なる!
サプリメントや栄養剤などには「健康食品」「栄養機能食品」「特定保健用食品(通称トクホ)」「医薬部外品」など、いろいろな種類があります。どれに分類されるかで消費税率が異なるので、買うときは必ず表示を確かめましょう。
「栄養機能食品」や「特定保健用食品(通称トクホ)」など「食品」とついている物は「飲食料品」なので、消費税8%、「医薬部外品」「医薬品」と書いてあれば10%です。
例えば、「リポビタンD」は表示に「医薬部外品」、「ユンケル黄帝液」は「第2医薬品」とあるので、ともに消費税10%です。
でも、「レッドブル・エナジードリンク」は「清涼飲料水」、「オロナミンC」は「炭酸飲料」とあるので8%のままです。
映画館の席で食べるポップコーンは「外食」になる?
軽減税率の対象は最初にお伝えしたとおり「酒類・外食を除く飲食料品」です。この場合の「外食」とは、「テーブルやいす、カウンターなどの飲食設備のある場所で飲食を提供すること」を指すのですが、その区分もわかりにくい点が多々あります。
例えば、カラオケボックスで部屋から電話で食べ物をオーダーして持ってきてもらった場合は消費税10%ですが、映画館のシートに座って食べるためにポップコーンを購入した場合は消費税8%です。この違いは何でしょう?
カラオケボックスは「飲食を提供する場所」に当たりますが、映画館のシートは「飲食を目的とした場所」ではありません。「売店で買った物をシートで食べてもよしと特例的に認められている場所」なのです。そのため、「外食」には当たらないというわけです。
ただし、映画館の売店横に、売店が提供するテーブルなどがあった場合は「飲食設備」です。ポップコーンを買ってそのテーブルで食べたら、「外食」なので10%となります。
新幹線の座席も映画館同様、飲食を目的とした場所ではありませんが、飲食も認められています。だからワゴンなどで移動する車内販売で飲食物を買って席で食べる場合は、消費税8%です。でも、車内食堂などがある場合は、立ち食いのお店であっても10%となります。
このようなケースは、レジャーの至る所にあります。
遊園地の屋台でポップコーンを買って歩き食べするなら消費税8%、でも、カフェで食べるなら10%。高速道路のサービスエリアでアイスクリームを買い、イートインスペースで食べると10%、持ち帰って車の中で食べるなら8%です。
味覚狩りの入場料は10%ですが、その場で量り売りしてある果物を買って持ち帰りをする場合、その分は8%となります。
店舗や会社で対応が異なる点に注意!
上記のレジャーシーンでの複雑な消費税の違いは、あくまで定義上の分類です。このように細かく分けると、販売するほうの手間が大変だったり、営業上のマイナスがあると考える場合もあります。
そのため、下記のように店舗や会社によって軽減税率の対応が異なってきています。
■税込み方式で店内飲食とテイクアウトを同じ値段で対応
・ケンタッキーフライドチキン
・マクドナルド
・サイゼリヤ
・松屋
など
■店内飲食は10%、テイクアウトは8%と分けて対応
・モスバーガー
・スターバックスコーヒージャパン
・吉野家
など
現時点で対応を決めていない店舗や会社もまだ多く、ギリギリになって変わる所もあるでしょう。そのお店や施設がどのようにしているかを確認して利用するようにしましょう。
「飲食料品と物」のセットは軽減税率の対象になるの?
では、ここで問題です。
おもちゃや景品がついているお菓子や、クッキーとティーカップがセットになった贈答用品など、「飲食料品と物のセット」は、軽減税率の対象になるでしょうか?ならないでしょうか?
こういうケースの場合、下記の条件をすべて満たす場合は軽減税率の適用対象で消費税8%となります。
・税抜き価格が1万円以下
・食べ物の値段が商品全体の値段の2/3以上
飲食料品と物が混ざった福袋なども、上記の条件を満たしているかどうかで消費税率が異なります。
ただし、仕入れ値が消費税8%だった場合は販売も8%でいいとされているなど、お店の判断に任されている部分もあります。仕入れが8%でお店が「これはお菓子」と認識すれば8%、「これはおもちゃ」と認識すれば10%になる場合もあるというわけです。
ちなみに、ケーキなどを買ったときに「保冷剤をおつけしますか?」と聞かれますよね。ケーキは「飲食料品」で、さらに「テイクアウト」でもあるので消費税8%のケースですが、保冷剤の消費税はどうなるのでしょう?
この場合、保冷剤が無料サービスあれば税金はかかりません。しかし、有料の場合は保冷剤にのみ10%の消費税がかかります。
定期購読の新聞、「紙」は8%だけど「電子版」は10%
新聞は以下の条件を満たすものに関して、軽減税率の対象となります。
・定期購読契約が締結されている
・週に2回以上発行される
・政治や経済などの一般社会的事実が掲載されている
スポーツ新聞や業界紙、英字新聞なども、上記の条件に合っていれば軽減税率の対象となります。ただし、電子版の新聞は、定期的に購読する契約をしていても軽減税率の対象外です。
主要紙の多くが、電子版と紙版のセットのサービスを提供しています。このほうが別々に契約するよりも、かなりお得になります。
この場合、電子版と紙版のセットごと軽減税率の対象になると思いがちですが、残念ながら軽減税率の対象となるのは紙版のみ。やはり電子版は対象となりません。
今後は「買う前に表示チェック」が基本。困ったら電話相談もあり
消費税8%と10%では、商品一つ一つで考えるとそれほど大きな差ではありません。でも、高額な物や数多く買う場合には差が響いてきます。
そのため、今年はお歳暮に「飲食料品」を選ぶ方が増えるのではないかと私は予想しています。飲食料品なら8%ですが、お酒にすると10%、飲食料品以外も10%ですから。
軽減税率が始まってしばらくは混乱が予想されます。軽減税率の対象なのかどうか迷う商品があったら、まず商品の表示を確認しましょう。お店側の対応が変わる可能性もあるので、ニュースなど情報をチェックすることも大切です。
それでもよくわからなかったり迷ったときには、下記の相談センターを利用するのもおすすめです。とても親切に、詳しく教えてくれますよ。
■消費税軽減税率電話相談センター(軽減コールセンター)
専用ダイヤル: 0120-205-553(通話料無料)
(ナビダイヤル:0570-030-456(通話料がかかります)もあり)
【受付時間】 9:00~17:00(土・日・祝除く)
※令和元年9月および10月は土曜日も受け付けている
取材・文/かきの木のりみ