家計を守るために多くの人が実践している「節約」。節約アドバイザーの丸山晴美さんは「行きすぎて“ケチ”になってしまう人が少なくないので注意を!」と呼びかけます。どこからどこまでが「節約」で、どうなると「ケチ」なのか、節約のプロに聞きました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2022年4月時点の取材情報を基にしています。

監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「節約とケチの違い」!
生活レベルを落とすのは節約?それともケチ?
今はネットや雑誌などいたる所で、さまざまな種類の節約テクが紹介されています。その中には、極端な方法のものも少なくありません。たとえば、「夜はキャンドルで過ごして電気代を浮かせる」「エアコンはできるだけ使わず、服の調節で乗り切る」「お風呂の水は数日間使い回しする」など。
でも、キャンドルは火事が心配ですし、そもそも電気よりコスパが悪いです。エアコンを使わずに我慢したり、汚れた風呂水を長く使い回していたりすると、体に悪影響を及ぼすこともあります。
熱中症や風邪などで体調を崩して働けなくなったら、それこそ家計に大打撃でしょう。まずは健康かつ安全で文化的な生活を優先させることが大切です。
このような「生活の質を落としすぎる節約」は、やってはいけないテクだと思います。というか、そもそもこれが「節約」なのかも疑問です。
目標を達成するためにがんばる途中も、生活のランクは下げないで
私は「節約」というのは、生活をランクアップさせるもので、ランクダウンさせるものではないと考えています。
ムダな出費を省いて、節約して貯めたお金で「家を買う」「車を買う」「旅行する」「子どもの教育資金にする」などの目標が達成できたら、生活がランクアップしてうれしいですし、幸せを感じると思いませんか?「がんばった!すごい!」と思えるし、気分も上がるのではないでしょうか。
節約とはこのように、「生活をより豊かにするための方法」です。ですから、それを達成する途中も、上で紹介したような方法で生活を極端に下げてしまうのは間違っていると思います。
中には節約にがんばるあまり、服装や身だしなみにも気を使わなくなり、マスクを毛羽立つまで使い続けるような人も……。こうなると「節約」ではなく「ケチ」になってしまいます。
節約をがんばろうと思うほど、ケチの落とし穴に陥りやすくなります。そんなときは、何のために節約するのかを思い出しましょう。
実感!一番お金が貯まった節約テクは◯◯
私もこれまで、さまざまな節約テクを実践してきました。その中で最もお金が貯まった方法は、給与から先取り貯蓄をして、残ったお金を引き出し、月の食費や日用品費などの予算別に袋に分けてやりくりする「袋分け」でした。これは本当に効果的に節約でき、年200万円の貯蓄につながりました。
ただ、私が袋分けを一生懸命やっていたのは、物価も消費税も安かった1990年代。時代的にもデフレで、節約をすればするほどお金が貯まりやすかったですし、月の食費が1万円未満というのは1人暮らしでもかなり少ないほうでした。
今は物価も上がっていますし、家族構成によってもお金のかかり方が変わりますから、昔のようにはいかないでしょう。それでも、自分に本当に合う節約テクが1つ分かっていると、何かあったときはそれで乗り切ることができます。
体や気持ち、家族に無理を強いるような節約は、けっきょくストレスになるのでよくありません。また、家族がいるのに1人だけ節約をがんばっても効果は限定的ですし、家族に不協和音が生じるだけです。健康と心地よい生活を守りつつ、家族一緒にできる節約テクをぜひ見つけてください。
取材・文/かきの木のりみ