「パイナップル」を食べすぎるとどうなる?知っておきたいパイナップルのメリット&デメリット
2024/07/09
パイナップルに含まれる栄養素には、健康によい作用を持つものが多い反面、とり方を間違えてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、パイナップルの食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい量の目安について紹介してもらいます。
骨の強化や代謝促進に!パイナップルを食べる「メリット」
パイナップル(パインアップル)は熱帯アメリカ原産の植物で、ジューシーな果汁と甘い香りや味が特徴の果物です。品種によって果実の大きさや、皮と果肉の色が異なります。
そんなパイナップルには、次のような栄養素が多く含まれています。
・ビタミンC
・マンガン
・銅
・ビタミンB6
・ビタミンB1
・食物繊維
これらには、老化や日焼けを防ぐ、骨を強くする、免疫機能を維持する、たんぱく質や糖質の代謝を促す、腸内環境を整える、などの働きが期待できますよ。
そのほかに、パイナップルには酸味のもととなる「クエン酸」や、「ブロメライン(※)」という酵素が含まれています。
クエン酸は鉄やカルシウムなどのミネラルの吸収を高める働きがあり、代謝を促して疲労回復などにも役立つといわれています。
ブロメラインはたんぱく質を分解する働きがあり、消化を助けてくれるのです。また、薬としても使われている成分で、その場合は炎症による腫れを和らげたり、傷んだ組織をきれいにして治りをよくする効果効能があるのだとか。
このように、パイナップルを上手にとり入れることで美容や健康増進によい影響が期待できるでしょう。
※……ブロメリン、プロメリンと呼ばれることもあります。
冷えや高血糖も?パイナップルを食べすぎる「デメリット」
多くのメリットが得られるパイナップルですが、過剰に摂取したり体質によっては思わぬデメリットが生じることもあります……。
体が冷えやすくなる
パイナップルの9割近くは水分で占められています。含まれている水分の多さとカリウムの働きにより、食べすぎてしまうと利尿作用で体熱が放出され、体を冷やしてしまいやすくなります。
暑さをしのぎたいときに適量を食べるのは体温調整によいのですが、クーラーがきいた涼しい場所で食べたり、冷たいものといっしょに飲食する場合には作用が強まりやすくなるため注意したほうがよいでしょう。
体が冷えてしまうと自律神経の働きが乱れるなどして、内臓機能や睡眠の質の低下を招いてしまうことに……。
冷房を使うと体調をくずしやすいという人や、ふだんから手足やおなかが冷えている人などはとくに食べすぎに注意することをおすすめします。
口の中や舌が痛くなる
食べたものの消化を助けてくれるブロメラインですが、胃の中のものだけでなく加熱する前の肉や、わたしたちの口の中にも同じように作用することを忘れてはいけません。
硬さのある肉などは繊維が分解されてやわらかく仕上がるというメリットがありますが、食べ過ぎたときには口の中や舌を保護している粘膜が壊されてしまい、口内炎のように荒れたりヒリヒリしたような痛みを感じることも……。
甘くておいしいからといっても、パイナップルの食べすぎには注意しましょう。
なお、酵素は加熱に弱いため、生以外のパイナップルであればこの点は心配ありません。ただし、アレルギーによって似たような症状があらわれることもあるため、その場合は専門医にご相談ください。
血糖値が上昇しやすくなる
パイナップルの糖質量は、一般的なサイズ1/2個(皮付き0.5kg、果肉のみ275g相当)に34.4gも含まれています。これは炊飯後の白米100gとほぼ同じ数値です。
糖質をとりすぎてしまうと食後の血糖値が急激に上昇して体に脂肪が蓄積しやすくなったり、こういったことが長期にわたる場合には糖尿病の原因になってしまうことも……。
とくに、果汁のように水に溶けている糖質はより体に吸収されやすいとされているため、果汁が多いパイナップルを食べすぎてしまうとダイエットや生活習慣病に悪影響が出ることが考えられるでしょう。
パイナップルを楽しむ量とタイミングは?
上記のとおり、パイナップルに含まれる栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。
そこでここからは、安心してパイナップルを楽しめる量とタイミングについて解説していきます。
健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?
まずは、日本人の食事摂取基準(2020年版)より、1日に必要とされるビタミンCの摂取量を参考にしてみましょう。
男女ともに推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量)は、以下のとおりです。
・12歳以上:1日100mg
そして、パイナップル100gあたりにビタミンCは35mg含まれているため、推奨量を満たすパイナップルの量はおよそ1/2個(果肉のみで275g)に相当します。
ちなみに、厚生労働省と農林水産省が発表した食事バランスガイドによると、果物の1日の摂取目安量は200gとされています(ただし、ほかの種類の果物も食べるのであれば、すべて合わせて200gほどに調整する必要あり)。
そのほかにも、エネルギーや糖質のとり過ぎによる肥満の可能性も考慮する必要があります。
パイナップル200gの場合、エネルギーは108kcal、糖質は25.0g含まれています。1日にとる食事とのバランスを考慮して、ご自身の食べるパイナップルの量を決めてみてはいかがでしょうか。
どのタイミングで食べるのがいい?
甘くてジューシーなパイナップルは、食後のデザートや間食として食べている人が多いかもしれません。
ですが、効果的に取り入れたいのであれば、朝食がおすすめです。
パイナップルに含まれているブロメラインを朝食にとることで、消化にかかる負担を軽減してくれるでしょう。同時に、パイナップルのビタミンB1やビタミンB6によって食べたものを効率よくエネルギーに変えるので、その後の活動をスムーズにしてくれることが期待できるのです。
このほか、前日の夜に食べ過ぎて胃がスッキリとしないときに口にすれば、消化不良の解消にも役立つ可能性があります(※)。食欲があまり出ないという人は、朝食にパイナップルを活用してみてはいかがでしょうか。
このように、正しい量を把握できていれば、パイナップルはメリットが多い食品です。パイナップルのメリット・デメッリトを理解し、上手にとり入れていきましょう。
※……消化促進の効果を期待する場合は、必ず生のまま食べるようにしてください。